志木家のある「山吹市」は、人口およそ70万人あまりの、都会の近郊にあるベッドタウンです。
昔はそれほど大きくない、のどかな町だったのですが、10年ほど前に新しい電車の路線が開通して以来、新たな住民が次々に押し寄せてきて、人口が急激に増加しています。
それに伴い、古い街並みが取り壊されて、その跡地に大きなショッピングモールや、高層マンションなどが次々と建設されています。
なかでも駅前周辺は、最新のビル群が建ち並ぶ、一大商業地域になりつつあります。
もっとも私自身は、近頃の駅前の様子というものは、浅緋さまのお供をした時にチラリと眺めただけですけれども。

山吹市の中央には、市を二分するような形で、大きな川が流れています。

志木家のある住宅地を出て、橋を通ってその川を渡った向こう側は、大邸宅が建ち並ぶ高級住宅地になっています。
この高級住宅地には昔から、地元の資産家の方々が暮らしていました。
やがて市が発展するにつれて、そうした旧家の隙間を埋めるように、ほかの街からやってきた新興のお金持ちの人たちが、新しい住居を建設していったのです。
とはいえ、このあたりはまだ土地に余裕がありましたから、新しい住居といっても、さすがにどこも広いお庭のある、立派なお屋敷ばかりですよ。

それから山吹市には、住民にもあまり知られていませんが、小さな公園が5つ、市の各所に点在しています。
5つの公園はどれも真円の形をしていて、どの円の中央にも小さな時計塔が建っています。
地図の上で、この5つの時計塔を線で結んでいくと、ちょうど五芒星の形になるのですが……おっといけない。
この私、クリアの口からこの話題についてお話しするのは、さすがにまだ早かったようですね……。

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